暮らし方アドバイス

暮らし方を大切にした家づくりを考えている私からの
ちょっとしたアドバイスを始めます。何かのヒントにしてください。

 

■ テレビとリビング

どこにでも置けるテレビ

ごろごろしながらテレビを見たい家族の中2階のテレビ部屋

中庭に面している為、壁面が少ない時のテレビスペース

 

2008.10.15

雑誌を見ていると、カッコいいーリビングルームに遭遇することが度々あります。

けれど、実際の設計ではなかなか思うように行かないものです。その原因の多くはテレビにあると思われます。最近のテレビは薄型になり、かなりおしゃれ度は高くなりましたが、気をつけないと、裏でケーブルコードがとぐろを巻いています。建築家のコメントを見てもそのあたりのことがきちんとかかれているケースは少ないです。やはりみんな苦労しているのかな。リビングルームと名前は洒落ていますが、日本語に直せば居間。普段いる部屋ということでしょうか?台所、寝室、浴室など、ほとんどの部屋はそこで何をするのか用途がはっきりしていますが、何でもありの混沌とした部屋なのでしょうね。いっそ、一杯やりながらテレビを見る部屋とか、テレビを見ながらごろごろくつろぐ部屋などのように用途を具体化すればいいのでしょうか?

30年ほど昔ですが、アメリカの住宅を見る機会がありました。建築家の設計した住宅ではなく、ごく普通の家です。その中でも少し上のクラスの住宅は玄関脇に広いリビングルームがあり、壁紙、カーペット、カーテン、ソファーなどが完璧にコーディネイトされていました。お客さんを接待する住宅の顔のような部屋です。普段の家族のリビングは、キッチンの近くにあり、バーベキューをする裏庭とつながり、暖炉やカジュアルなソファー、そしてテレビのある、いわばファミリールームです。居心地がよく、犬や友達も家族のように居られる部屋でした。

かつての日本の住宅は座敷や応接間と茶の間とがはっきり分かれていました。都心部での住宅事情が悪くなった上、気の張る来客があるわけでもなく、せいぜい友達か親戚ならば、これらを一体化して広くしようというのが始まりでしょうか?初期のリビングはもう少し格式的でソファーも応接セット形式でした。最近はかなりカジュアルで洒落た感じになっています。テレビも進化してダサくはなくなりましたが、形態的にはテレビを見る部屋に違いはないですね。庭も見たいし、ストーブもおきたいし、いやピアノもあるよと、ますますリビングの多目的化が進み、これらを整理しつつ、どうやってまとめるか頭を悩ます日々はまだまだ終わりそうにありません。

■食器洗浄機と食器収納

食器洗浄機は流しの左側

向い側カウンターは引出し、吊戸棚と収納が充実している
以前のキッチンでは物があふれていたが、今回はスッキリ

2008.7.15

我が家を建てた20年前、食器洗浄機はまだまだ、ぜいたく品でした。この10年程で各メーカーのレベルが上がり、また輸入物のメンテナンス体制も充実し、ほとんどの方が設置されるようになっています。

かつての設計では洗った食器をどこに置くかということが重要課題でした。メーカーもさまざまな道具を用意し、少しでも便利にと努力を重ねていました。が、食器洗浄機の進化でこの問題は一気に片付いたような錯覚を起こしています。
洗いかごの問題がなくなったら待ってましたとばかりに、オープンキッチンの大ブームです。これにはもうひとつの兵器IH調理機器も加わっていますが。 オープンキッチンの是非論についてはまた別の機会に譲りますが、今回は食器の問題です。

私がキッチンの設計において一番気になるのは、機械の性能そのものよりもどこに配置するかということです。基本的には流しシンクのすぐ右か左です。
でもそのどっちよ?と言われたら、それはレイアウト全体の問題、自分の好みや使い方の癖などによるとしか言えないでしょうね。私ならどうかしらと考えてみますと、意外と見落とすのが、食器を入れる動作より、洗い終わった後、どこに食器を片付けるのかということでしょうね。
一度カウンターの上などに食器を出して、それからお決まりの収納場所に入れますが、この作業が以外に面倒なのですよね、主婦ならわかると思いますが。

まず吊戸棚の場合、流しシンク側ですと高くなりがちなので別のところにぐっと低めに作るといいです。カウンターから40センチ上というのが私のベストサイズです。食器棚ならば上から下まで1枚の扉で開け閉めができるクローゼット式が便利ですね。最近は引出しに食器を収納するのがちょっとしたブーム。これは高いところに片付けるよりうんと楽ですね。

さらに私は食器もよく使うもの、たまにしか使わないもの、季節のものと分けて収納しています。それほど広いキッチンではないので日常的なものは引出しに、季節ものは衣類の衣替えのようにダイニングの棚に入れ替えています。だんだんずぼらになると、食器洗浄機が食器収納になっている場合も見受けられますが、もしそれで間に合うのだったら合理的ですよね。

■梅雨の洗濯物

2008.6.3

外観・・・幹線道路沿いの狭小地に建つ家。生活観を外部に出し過ぎないように工夫した。 3階右側のガラリとオーニング窓のある部分が物干し場

内観・・・同じ住宅の内部、廊下の奥に室内物干し場がある。手前はトイレと手洗い。

梅雨は田んぼに水を溜めたり、植物が生育するには不可欠な季節ですが、 小さな子供や部活動真っ最中の育ち盛りの子供のいる家庭では、洗濯物に悩まされる、困った時期でもありますね。最近は3月から花粉のため、外に洗濯物が干せないという家庭も増えています。住宅を設計する立場から町を見たとき、洗濯物と布団干し場の確保と美観の矛盾を感じます。敷地がたっぷりあれば工夫の余地もありますが、間口の狭い、都市型の住宅で、特に南側が道路の敷地では物干しベランダと車庫で前面のデザインが決まってくるという悲しさがあります。

ずいぶん昔、アメリカで生活した経験がありますが、古いアパートでも必ずといっていいほど地下に洗濯機、乾燥機が設置されていました。隣に住む韓国の人も私同様、天気のいい日は出来るだけ裏庭に干していましたが、これはアジア人の共有した習性でしょうか。イタリアを旅行したとき、下町のごみごみした地域では2階の窓からロープを出して、洗濯物を干している光景に出会いました。映画で見たことがあるなと、懐かしく思いましたが、グレードの高い通りでは決してそんなことはありませんでした。ドイツの集合住宅では共有の洗濯室があり、洗濯機以外に、一般的なアイロンやシーツをプレスできるローリングタイプの本格的なものまでありました。さらに家事をするそばで子供が遊べるコーナーやちょっとした仕事ができるテーブルもあり、さすがと感心しました。洗濯物を道路側に見せないという感覚は徹底しています。
最近の設計で特に仕事を持っている主婦からの要望で洗濯物干し場を室内化することが増えました。その他、幹線道路に面した家、花粉症の家族が居る家なども。都会の女性の要望なのか室内干し用の洗剤も増えています。 ずぼらな人ならそのまま、物干しがクローゼットになるのではと余計な心配もしますが、今後の住宅の必要空間になることは間違いないでしょう。

■新緑がまぶしい

2008.4.23

新緑のまぶしいこの季節は唯一窓を開け放し屋外と一体になった生活が楽しめる時期です。リビングに大きな窓を作り、庭にはウッドデッキが・・・と夢見がちですね。でもこんな季節は本当に短くて、すぐに網戸や冷房が必要になります。

最近の雑誌はこんなかっこいいー写真をよく掲載してありますが、よく考えてみると、窓を開けない時期は10ヶ月くらいあるんですよね。現実的には窓を閉めた状態を長い間見ていることになります。 また、大きなFIX窓の家もよく見かけますが、年中エアコンをかけっぱなしかしら?時々窓を開け、風を通すということは環境面からだけでなく、五感を大切にする情操教育のためにも重要です。

敷地が広かったり、海や山の近くで景色がよかったりと条件が整えばこれほど素敵なことはありませんが、悲しいかな大抵の家は隣の家や汚らしい電線やとても見られない景色に囲まれていることが多いんですよね。隣に建築家の設計した素敵な家があればラッキーですが・・・。あるいは中庭を作りその中を開放的にするというのも都市に住む知恵でしょうが。
でも時々、これは家なの?要塞なの?それとも怪しげな宗教団体?ともいえる生活感の無い、生活者の顔が全くわからない家というのもあるんですよね。

いくら中庭があり本人たちは快適でもちょっとね?
程よい大きさで機能的でデザインもよく、また街行く人も住んでいる人も気持ちのいい・・そんな窓をどう確保するか、日夜悩みはつきません。

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